男性不妊について綴っていますが
診察ってどんなことするの?
と気になりますよね!?
女性の皆さんは
診察を受けることに不安と恐怖を感じている方
少なくありません
が、男性も同じでした😓
今回は、男性の診察についてお話します
泌尿器科または婦人科の男性不妊外来の予約が必要です
受診される場合は
日本生殖医学会の認定する
泌尿器科の生殖医療専門医の診察がお勧めです
(全国で60人弱しかおりません)
1、問診
問診票の記入:かなりプライベートな事に突っ込みます
年齢、結婚、避妊期間、挙児希望期間(お子さんを望んでからの期間)
性機能について(毎月の性交回数や勃起や射精の事など)、既往歴、生活習慣
当然ながら育毛剤の使用
※医師との診察時に話し辛ければ、問診票に書いた方が伝えやすいかもしれません
2、視診、触診
医師にジーッと見られ、お触りされちゃうのが視診・触診です
【何を確認しているのでしょう…】
・体毛の量、女性化乳房はないか:ホルモン分泌異常の可能性がないか
・外性器の発育程度:ホルモン分泌異常、先天的な疾患はないか
・精巣容量:オーキドメーターという器具を使用し大きさを確認します
極端に小さいと造精機能に問題あり!? 染色体異常、ホルモン分泌異常の可能性も
・精管、精巣上体の触診:精管が触れない場合は精管欠損症、精巣上体が拡張している場合は
精路閉塞の可能性があります
・鼠径部の手術創:幼少時の鼠径ヘルニアの手術の跡
陰毛で見えない場合もあるので、母親に聞いておくのも忘れずに!
・陰嚢の視診、触診:精索静脈瘤が見ただけでわかることもあります
・陰茎(ペニス)の視診:尿道下裂がある場合は見てわかります
・身長:ホルモンの分泌異常で長身や低身長になることがあります
3、精液検査
前回、精液検査についてお話したので詳細は割愛させていただきます
病院・クリニックによっては、自分の精子の状態を画像で見せてくれるところもあります
プリントアウトされた結果だけでは、読み取れない情報がたくさん確認できます
4、ホルモン検査
血液検査です
・T:テストステロン
・LH:黄体形成ホルモン
・FSH:卵胞刺激ホルモン
・PRL:プロラクチン/乳汁分泌ホルモン ※過剰分泌で性欲減退、精巣機能低下が起きる
・E2:エストラジオール
5、超音波検査
精巣の大きさや、精巣腫瘍はないか、精索静脈瘤の有無を調べます
陰嚢にゼリーを塗った超音波のプローベを当てますので
ちょっと、気持ち悪いかもしれません
6、必要時に行う検査
無精子症や高度乏精子症の場合、染色体検査をします
血液検査です
ヒトの染色体は46本です
通常女性は「46XX]、男性は「46XY」となります
46本のうち、44本は「常染色体」と言われ、男女ともにあります
男性、女性を決定するのが「性染色体」で
44本の常染色体と2本のX染色体を持つのが女性
男性は、44本の常染色体とXとYの染色体を1本ずつ持っています
染色体の異常で多いのが、「47XXY」でX染色体を1本多く持っている男性です
クラインフェルター症候群と言います
精液中に精子が確認できない無精子症になる傾向があります
無精子症・高度乏精子症の場合、もう一つの血液検査
Y染色体微小欠失検査
Y染色体の長腕に精子形成に関わる遺伝子を含む領域(AZF)があります
非閉塞性無精子症や高度乏精子症ではAZFの微小欠失がおよそ8%に認められます
欠失の状態では精子回収の可能性に違いがありますので、この遺伝子検査で確認するのが重要となります
この領域は「AZFa」「AZFb」「AZFc」の3つに分類されます
・AZFa欠失:精子になるための精細胞がなく、精子に栄養を与えるセルトリ細胞だけの無精子症となります
Sertoli cell only症候群と言います
・AZFb欠失:精子が成熟する過程で制止する状態の無精子症となります
・AZFc欠失:精子が確認されることが多く、乏精子症から無精子症と多様な状態です
※AZFa、AZFb欠失の場合精巣内に精子が存在する可能性はなく、精巣内精子回収術など実施する意味がありません
AZFc欠失では、精子回収の可能性はあります。また、治療後により生まれた男児はAZFc欠失が受け継がれます
お疲れ様でした
以上、男性不妊外来での一般的な診察についてでした
もちろん、診察結果でさらに高度な検査が必要な場合もあるかもしれません
最後までお読みいただき、ありがとうございます😄